Tokyo Docsへの道

Tokyo Docsへの道

Tokyo Docsはドキュメンタリーの国際共同製作を企画段階から応援する国際イベントです。完成したドキュメンタリーの海外での展開(フェスティバル応募、海外上映、海外販売etc.)も支援しています。

「日本を含むアジアから、世界に向けてドキュメンタリーを発信する」ことが大きな目標です。

ここではTokyo Docsに参加してみたいという制作者の方々に、「Tokyo Docsへの道」とその歩き方を、 下記のような項目に分けて アドバイスしていきます。

目次
① ピッチング・セッションとは?
② 企画を準備する
③ 企画のブラシアップ (i)Tokyo Docsアカデミー
④ 企画のブラシアップ (ii)ワークショップ
⑤ 企画のブラシアップ (iii)マスタークラス
⑥ 企画のブラシアップ (iv)出前アカデミー
⑦ 応募
⑧ 事前の準備トレーラー
⑨ 直前演習
⑩ Tokyo Docsスタート・ゲストを知る
⑪ ピッチング・セッション
⑫ One on One Meeting(個別面談)
⑬ フォローアップセッション
⑭ 授賞式
⑮ デシジョンメーカー・海外プロデューサーとのやりとり
⑯ ドキュメンタリー祭派遣

① ピッチング・セッションとは?
Tokyo Docsに向けた準備を説明する前にTokyo Docsのメインイベントであるピッチング・セッションを簡単に説明します。ピッチの直訳は「投げる」ですが、ここでは「制作者が企画を提案する」という意味で使われます。ピッチング・セッションは「ドキュメンタリーの国際共同製作を目指す公開企画提案会議」と訳しています。ドキュメンタリーを作りたい、予算を獲得したいという制作者は、企画を練り、トレーラーと言われる企画説明映像(3分程度)を作り、ピッチング・セッションに臨みます。企画を受け止めるのはデシジョンメーカーです。デシジョンメーカーとは、予算の決定権を持っているテレビ局プロデューサー、ドキュメンタリー支援ファンドのプロデューサー、予算獲得に長けているインデペンデントのプロデューサーなどです。
制作者はトレーラーを使いながら7分でプレゼンを行い、その後は8分間の質疑応答となります。この場でデシジョンメーカーが参加を決めることはほとんど無く、その後に続くOne on One Meeting(個別面談)やメールでのやりとりを重ねて国際共同製作が成立します。複数のテレビ局やファンドから制作資金を確保することが多く、これを国際“共同”製作と呼んでいるのです。
ここからはTokyo Docsのピッチング・セッションに向けてどういった準備が必要かを書きます。

② 企画を準備する
「どういった企画が国際共同製作に向いているのか?」
 制作者からよく聞かれる質問です。この正解が分かっていれば、こんなに楽なことはありません。これが分からないので、世界中の制作者が色々な企画を練っているのです。少なくとも言えるのは、自分が暮らしている国の視聴者だけでなく、海外の(もしくは特定の地域の)視聴者の関心を引く企画であることと、とは言えます。自分が作りたい企画で、海外のプロデューサーが「チームに入って一緒に作りたい」と思う魅力があり、そして海外に視聴者に受けるもの。この三点が必要なのです。
 「そろそろTokyo Docsの応募締切りだ。企画を考えないと・・・」これでは国際的なピッチング・セッションで戦えません。海外では1年以上かけてリサーチし、自力で撮影を始め、そういった段階でピッチング・セッションに臨む例が少なくありません。平素から「このテーマで是非ドキュメンタリーを作ってみたい」と日頃からリサーチを重ねている企画が望ましいのは言うまでもありません。
 といっても忙しい日々を送っていると、企画を温めていることも難しいのが現実。そこでTokyo Docsでは企画を育てるためのサポートを始めています。Tokyo Docsアカデミー、ワークショップ、マスタークラス、出前アカデミーです。

③ 企画のブラシアップ (i)Tokyo Docsアカデミー
これは国際共同製作の初心者向けの講座です。Tokyo Docsの前に数回開催します。「Tokyo Docsとは?」、「海外で人気を呼んでいるドキュメンタリーの傾向」、「ピッチング・セッションとは?」、「国際共同製作を経験したプロデューサー、ディレクターの経験談」といった講座を行っています。

④ 企画のブラシアップ (ii)ワークショップ
 制作者が企画を持ち寄りディスカッションします。数行程度のアイデアでも構いません。参加者による自由な話し合いの中で、企画を進むべき方向性を考えていきます。次の段階のマスタークラスの準備段階と位置づけています。

⑤ 企画のブラシアップ (iii)マスタークラス
 マスタークラスは経験者向けのサポートシステムです。1月ごろに企画募集を行い、企画を育てるためのワークショップを経て、4本程度の企画を採択します。参加料が必要ですが、本番までの間、ヨーロッパで国際プロデューサーとして活躍してきたポール・パウウェル氏などの辣腕プロデューサーと一緒に企画を練っていきます。

⑥ 企画のブラシアップ (iv)出前アカデミー
 こちらはTokyo Docsの担当者が制作会社に出向いて、企画提案会議を行うものです。ディレクターが提案する企画に対して、「国際共同製作に向いているかどうか」、「海外で通用する企画かどうか」といった視点でアドバイスを行います。若手が密かに温めていた企画が、出前アカデミーで発掘されて長編ドキュメンタリーとして完成して海外のドキュメンタリーに参加する、という例もありました。
 出前を希望される制作会社はTokyo Docs事務局まで連絡ください。

⑦ 応募
 Tokyo Docsのピッチング・セッションへの応募はウェブページから行います。応募フォームを使って、必要事項を記入してください。この段階では映像も、応募料金も必要ありません。
 応募された企画は、海外のプロデューサーを含む選考委員会で採択が決まります。企画の質が最も問われますが、「企画が国際共同製作に適しているか」「海外のプロデューサーの評価が高いどうか」など、Tokyo Docsならではの視点も加味して選ばれます。
 企画が選ばれると事務局から連絡があります。制作者は事前の演習、ピッチング・セッション、個別ミーティング、フォローアップセッションなどに参加が必須となりますが、可能であれば正式に採択が決まります。この段階で参加料が発生します。翻訳など実費がかかる作業が始まりますので、いったん参加を表明された場合は、その後で参加をキャンセルしても参加料はお返しできませんのでご了解ください。

⑧ 事前の準備トレーラーなど
 Tokyo Docs直前では無く、なるべく早めに制作をしてください。企画の情報が載ったカタログのPDFに合わせて、デシジョンメーカーに送ります。デシジョンメーカーは事前に予習をしてくれますので、事務局からお知らせする期日は守ってください。
 トレーラーを作るためのワークショップも開催します。Tokyo Docsアカデミーのウェブにアクセスして期日、場所を確認ください。
 トレーラー以外にもOne pagerと言われる紙の資料も必要です。A4サイズ1枚の表裏に、ログライン、シノプシス、ディレクターの思い、スタッフ紹介といった要素を並べます。

⑨ 直前演習
 Tokyo Docs直前にマスタークラス講師による事前演習があります。参加者全員に7分のプレゼンを準備して講師陣の前で、ピッチング・セッションの予行練習をしてもらいます。プレゼン内容、トレーラーのブラシアップを図るとともに、「デシジョンメーカーからの質問にどう答えればよいのか」と言ったアドバイスも行います。

⑩ Tokyo Docsスタート・ゲストを知る
 海外のドキュメンタリー祭にデシジョンメーカーとして参加すると、見ず知らずの制作者から旧知のように挨拶されます。彼らはイベント側が用意した顔写真付きのプロフィールをチェックして記憶し、デシジョンメーカーとネットワーキングし、あらゆるチャンスを逃さず企画を売りこんで来るのです。Tokyo Docsのウェブにも事前にデシジョンメーカーの情報は掲載されます。こちらも、どういった企画を好むのかといった付加情報も載せますので、プロフィールを良く読んで、顔を覚えておいてください。
Tokyo Docsが始まると、まずオープニングパーティでデシジョンメーカーと会うことができます。ピッチング・セッションで提案するチームはオープニングパーティにも参加できます。パーティーの場では企画を詳しくピッチするのは禁止ですが、簡単な自己紹介はもちろん構いません。積極的に話してください。
Meet the Guestsというミーティングがあります。デシジョンメーカーを囲んで対話するミーティングです。基本的にはデシジョンメーカー側から自己紹介や、自分が持っている枠の紹介などがあり、それを受けて自由に対話する形式です。ここではデシジョンメーカーの嗜好が分かります。

⑪ ピッチング・セッション
 Tokyo Docsのメインイベントです。ここに詳しく携行と対策が書いてあります。

⑫ 個別ミーティング
 ピッチング・セッションは2日にわたって開かれ、午後には個別ミーティングが行われます。基本的にはピッチをした日の午後にミーティングを組みますが、違う日にもミーティングが入ります。デシジョンメーカーの空き時間に、ミーティングを新たに加えることも可能です。ピッチング・セッションが行われる両日ともに、会場に来てください。

⑬ フォローアップセッション
 Tokyo Docsは企画の開発のスタートです。この後にどういったやりとり、交渉を続けていけばよいのかというアドバイスを行うセッションです。海外プロデューサー、国際共同製作の経験がある先輩プロデューサー・ディレクター、Tokyo Docsアドバイザーなどが相談相手です。

⑭ 授賞式
 支援金の総額は500万円です。支援金以外にも提携している海外のイベントからの招待などもあります。ぜひご参加を!

⑮ デシジョンメーカー・海外プロデューサーとのやりとり
 Tokyo Docsが終わった後に簡単にお礼のメールを送りましょう。ミーティングで資料のリクエストがあれば、必ず送っておきましょう。ただ返事はなかなか返ってきません。Tokyo Docsが終わるとヨーロッパ最大のドキュメンタリー祭IDFAが始まります。その準備などが始まるのも一つの理由です。しかしデシジョンメーカーは、遠い日本までギャラも無いのにはるばるやってきます。良い企画を探すためです。気になっている企画があれば、かならずフォードバックはあるはずだと信じて連絡を続けましょう。

⑯ ドキュメンタリー祭派遣
 Tokyo Docsでは海外のドキュメンタリーへの派遣支援も行っています。詳しくはTokyo Docs Fundのページをご覧ください。