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必読! 企画応募フォーム 書き方のヒント

企画応募フォームは、主に海外のデシジョンメーカーに読んでもらうためのものです。「自分が書きたいこと」ではなく、「デシジョンメーカーが読みたくなるもの」を書きます。
「どのように書けば企画の狙いや意図を、海外デシジョンメーカーが、正しく理解してくれるのか」という点を念頭に置いて、企画応募フォームの書き方のヒントをまとめます。

文責 Tokyo Docsアドバイザー 今村研一

目 次 ▼

1.  タイトル

2.  尺と本数

3.  進行状況

4.  主な取材地

5.  ログライン

6.  番組概要

7.  詳しい説明(ストーリーライン、背景など)

8.  関連動画

9.  ジャンル

10. スタイル

11. 制作予算

12. ディレクター、プロデューサー、連絡先

13. 画像データ

14. 推薦状

1. タイトル
ドキュメンタリーの英語タイトルは、数単語の短いものが主流です。日本では「タイトル+副題」という付け方が一般的ですが、これはアジアやドイツなど一部の国だけで通用するフォーマットです。海外での放送、上映を目指すのであれば、「短いタイトルのみ・副題無し」という付け方をおすすめします。

欧米では、「タイトルは、ドキュメンタリーの内容を分からせるもの」ではなく、「視聴者の関心をひくための手がかり(フック)である」という考え方が一般的です。
例えば、NHKで放送した国際共同製作ドキュメンタリー「ロキ野戦病院~スーダン難民を救え~」の英語の原題は"War Hospital"です。わずか二単語。日本語タイトルには場所の説明や番組の狙いが入っていますが、英語タイトルにはそういった情報は入っていません。
「ん?なんだ、このドキュメンタリーは?」と思わせれば成功という事です。また数多くの企画に触れるデシジョンメーカーに覚えてもらうためにも、短くキャッチーなタイトルが有効です。
日本語でタイトルを付ける時にも、こうした点を考慮に入れてシンプルで印象的なタイトルにすることをお勧めします。
2. 尺と本数
どういったバージョンを制作する予定なのかを書いてください。本格派ドキュメンタリーの制作では、Feature length version(長編・劇場版)とOne hour version・TV version(テレビ版)の二つのバージョンを作る事が一般的です。長編は75分~120分、テレビ版は52分が標準的な尺となっています。
シリーズを制作する場合は、シリーズに加え総集編的なものを1本(52分前後)作る事もよくあります。 Tokyo Docsに参加しているデシジョンメーカーの多くはテレビ局のプロデューサーです。また配給会社の最大の顧客もテレビ局です。劇場公開を目指して長編を制作する場合にも、多くの放送枠が1時間以下のため、テレビ局向けに52分版を作る事が当たり前です。
3. 進行状況
TokyoDocsでは、完成したドキュメンタリーは受け付けていません。つまり販売や配給のみが目的では、応募できません。従って「企画立案中/撮影準備中/撮影中/編集・ポスプロ中」の四つの項目から選んでください。
ただし、すでに完成したドキュメンタリー、番組でも、「新たに取材・撮影を加えて、バージョンアップした国際版を作るためにパートナーを探したい」という試みは応募が可能です。この場合は、「編集・ポスプロ中」を選んでください。

「企画立案中」という段階の企画についてのお願いがあります。ネット、「雑誌、新聞などのテキスト情報の収集」と、「電話などによる簡単なリサーチだけ」という段階での応募は望ましくありません。企画が採択されTokyo Docsのピッチング・セッションに臨む場合は、トレーラー映像が必要となります。「企画が採択されてから初めて主人公に会いにいき、撮影を始めよう」というのでは、デシジョンメーカーは満足してくれません。
テーマとする場所に足を運び、主人公候補に会って話しを聞き、ある程度の手応えを感じてから企画を提案してください。これはもちろんルールではありません。事務局からの希望です。

「撮影準備中」は、"企画の方針が決まり、撮影のための準備を始めた段階"です。企画開発の初期段階も、「撮影準備中」ではありますが、ここでは具体的な撮影方針やスケジュールが決まり、本格的な撮影に向けての準備を始めた段階を言います。
「編集・ポスプロ中」の段階に入っている場合、"何を国際共同製作するのか"を、良く考えないといけません。国際共同製作は単にお金をもらうためだけのものではありません。視点の違う海外のプロデューサーたちに参加してもらい、様々な意見をインプットを受け、企画の中身をより良くしていくためのものです。また企画に参加する側としても、編集に参加するだけでは楽しくないと思うプロデューサーが少なくありません。たとえ「編集・ポスプロ中」だとしても、「お金が足りないから編集費が欲しい」ということでなく、「海外で通用するドキュメンタリーを作るためのパートナーが欲しい」という事が基本的な姿勢です。また、編集段階に入ったとしても、「制作資金が集まれば、さらに追加撮影を行い、編集方針も再検討する」という柔軟な姿勢が大切です。
4. 主な取材地
撮影する場所を選んでください。三つまで選ぶことが可能です。
5. ログライン
少し長めのキャッチフレーズです。「課外授業~ようこそ先輩(NHK)」というロングランの番組がありますが(ちなみにこの番組も、ある意味ドキュメンタリーですね)、このログラインは「各界の著名人が出身小学校でその専門ついて授業し、子どもたちにメッセージを送る(38字)」となっています。この短い文章で十分に番組の企画意図は伝わります。
デシジョンメーカーは、「まずログラインを読み、自らの関心の範疇にあればさらに詳しい情報を読む」という仕事の仕方をするケースが多いので、ログラインで惹きつけないと先を読んでもらえないのです。短い文章とは言えなかなか重要!
海外のイベントなどに参加して知り合いのデシジョンメーカーに出会ったとしましょう。おそらくデシジョンメーカーは「いま、何をやっているの?」と聞くでしょう。この時に活躍するのがログラインです。魅力的に聞こえれば、デシジョンメーカーは足を止めてあなたと話し始めるでしょう。
6. 番組概要
ここでは、企画の全体像をわかりやすくまとめます。あらすじ、企画のテーマ、テーマに関わる社会情勢や社会的な背景、ディレクターの意図、企画のユニークな点などをバランス良くまとめてください。
「なりゆきが注目される」的なまとめ方は避けましょう。「追い詰められた主人公は、どのような決断をするのか注目される!」といったように、結末をオープンにすることはNGということです。
視聴者向けの広報文ではありません。デシジョンメーカー向けの文章です。まだ完成していない企画への参加を検討するデシジョンメーカーにとって、たとえ企画に興味を持ったとしても、ディレクターが「結末は分かりません!」と言っていたのでは、不安で参加を決断できません。想定でも構いませんので、自分なりのストーリー展開を提示してください。
7. 詳しい説明(ストーリーライン、背景など)
このパートでは二つの選択肢があります。一つはストーリーラインを詳しく書くこと。二つ目はいくつかの要素を併記することです。

(1)ストーリーラインのみを書く

デシジョンメーカーが最も問うのはストーリーラインです。これを詳しく書くと、とても効果的な企画書になります。
まだ完成もしないうちにドキュメンタリーのストーリーを完璧に書くことはできません。しかし国際共同製作では、企画が完成する前にデシジョンメーカーたちに参加を決断させなくてはいけません。ある程度は想定で構わないので、ドキュメンタリーの筋立てを書きましょう。ストーリーラインには、下記のような項目が想定されますが、あくまで一例です。

どのように始まるのか?

主人公、描くべき対象の抱える問題点、葛藤、Conflictは何なのか?

主人公とサブキャラクターはどういった人か?双方はとう対峙するのか?

ストーリーの山場は?

エンディグで主人公は何を見つける事ができるのか?


(2)"いくかの要素"を併記して書く

"要素"には下記のようなものがあります。

取りあげるテーマの背景 (Background)

主人公やその他の登場人物のキャラクター (Characters)

ディレクターの動機、思い (Director's Statement or Director's Note)

視点 (Point of View)

企画のセールスポイント

アクセス(「私だけが知っている」、「私だけが取材を許されている」など)

ドキュメンタリーのスタイル・演出方法 (Style or Visual Approach)


特に注意すべきは、ドキュメンタリーのスタイルです。取材者・監督と、主人公・登場人物・取材対象との距離感やスタンスをはっきりと書く必要があります。つまりテーマを客観的に観察する、監督の主観に基づき監督自身がナレーションする、物事の真相を突き詰めるために検証していく、などです。
8. 関連動画
動画は提案時には必須ではありません。すでに何らかの自分で撮影して編集した映像(トレーラー、キャラクター紹介、粗編など)がある場合は、動画サイトにアップロードしてください。ドキュメンタリーの世界ではVimeoを使うことが多いです。Vimeoは無料で使え、パスワードを設定することも可能です。デシジョンメーカーは、気になる企画がある場合は映像も見てくれます。参考となる映像があったほうがプラスになります。企画が採用されピッチング・セッションに参加する場合は、必ずトレーラーが必要となります。
9. ジャンル
扱っているテーマがどんなジャンルに属しているのかを選んでください。複数選ぶことが可能です。デシジョンメーカーは自分が扱う企画のジャンルを意識しています。あまり狭く考えずに、複数のジャンルを選んでおいた方が得策です。
10. スタイル
「詳しい説明」の項でも書きましたが、ドキュメンタリーのスタイルはとても重要な要素です。
ピッチング・セッションで良く聞かれる質問に、「あなたの企画のスタイルは?」というものがあります。取材者・監督・ディレクターがどういった姿勢で取材対象に向き合うかということです。「スーパーサイズミー(Super Size Me)」のようにディレクター自身が登場し、テーマを主観的に見ていくのか?カメラがFly on the Wall(壁のハエ、つまり主人公達がカメラを全く意識しないような撮影方法で客観的に撮影する方法)となるのか?事件の真相を突き詰めていく検証ドキュメンタリーのスタイルなのか・・?
このスタイルはドキュメンタリーを作っていく上で基本となるものです。複数のスタイルがひとつのドキュメンタリーに混在することはまれです。客観的なドキュメンタリーの中に、突然、監督自身が登場してカメラ向きに話し出すといった演出は、世界標準のドキュメンタリーではありえません。
11. 制作予算
想定される予算を書いてください。もちろん開発費、プロデューサーやディレクターの人件費なども含めてかまいません。ただし現実的でない予算を書いても意味がありません。「全体予算」とは、制作にかかると予想される総予算です。
確保済み予算とは、総予算の中ですでにあてがあるものです。「本来であれば自分自身の人件費は300万円欲しい所だが、100万円に押さえて後の200万円は出資として確保済み予算として計算しよう」という事も可能です。
重要なのは、絵空事に予算では無く実現性のある制作予算をたてることです。つまり、「うまくいけば日本の放送局から800万円、海外の放送局から400万円、自らの出資が200万円、配給収入から100万円・・・、合わせて1500万円は集められそうだ」という目処がたつ予算にしましょう。
すでに予算の一部が確保済みの場合は、その額と予算の提供者を記入してください。提供者とは放送局、ファンド、助成金、制作会社などです。
12. ディレクター、プロデューサー、連絡先
カタログに載せるのは原則としてディレクターとプロデューサーの二人です。居住し、主な活動を行っている国名も選んでください。
プロフィールを書くときの注意点です。ポイントは翻訳しやすい文章であること、海外のデシジョンメーカーが読んで理解できる事です。
例文をご紹介します。

1983年日本放送協会に入局。報道番組を担当し、特に国際分野の番組を多く制作。南シナ海の領有権問題を描いたNHK番組では、日本国内で賞を受賞。現在はNHKエンタープライズに所属し、社会問題を中心とする国際共同製作番組を制作。
注意すべき点は、番組のタイトルや受賞した賞の名前を列記しないということです。
たとえば上記の例で言うと、「"NHKスペシャル~アジアの火薬庫"を制作しギャラクシー選奨に選ばれる」と書かないということです。"NHKスペシャル"、"ギャラクシー選奨"と書いても、日本の事情を知らない外国の人たちには伝わりません。
上記のプロフィールをさらに詳しく書くと、「南沙諸島問題を取り上げたドキュメンタリーを制作しNHKの最も重要な枠で放送。日本有数の権威ある賞を受賞した」となります。こう書けば、日本を知らない人でも分かるのではないでしょうか。
13. 画像データ
企画を紹介する画像二枚と、ディレクター、プロデューサーの顔写真が必要となります。企画が選ばれるとカタログに掲載されます。画像を紙媒体で使う場合、大きなファイルサイズの画像でないときれいに印刷できません。動画からの抜き焼きではなく、カメラで撮影した画像を使うことをお勧めします。
企画を紹介する画像はとても大切です。トレーラー映像も、もちろん大切ですが、デシジョンメーカーの記憶に残るのは、意外と紙媒体に印刷された画像とタイトルだったりします。企画の開発が進んでいっても、ずっと使えるような、内容を象徴するような画像があるとインパクトが強くなります。開発を続けている間は、キーになる画像は一つだけに限った方が有効です。
14. 推薦状
個人の方が応募する際には、推薦状が必要となります。制作会社、放送局、経験豊かなドキュメンタリー監督やプロデューサーなど、ドキュメンタリー制作に関わってきた組織や個人に推薦状を書いてもらってください。フォーマットは特に決まっていません。応募する個人の方がどういった活動をされてきて、どういった理由で推薦するのかなどが、考えられる内容です。